ハムストリングスの肉離れ
ハムストリングスの肉離れ
ハムストリングスはアクセル筋と呼ばれ、ダッシュやジャンプといった瞬発的に力を発揮する動作に対して起こりやすい怪我です。
ハムストリングスを構成するのは大きく二つあり、外側ハムストリングスと内側ハムストリングスに分けられ、外側ハムストリングスは大腿二頭筋、内側ハムストリングスは半腱様筋、半膜様筋に分類されます。
肉離れといっても好発する箇所があります。
それが筋肉と腱の境目である筋腱移行部。筋組織から腱組織に切り替わるところであり、一番ストレスがかかるところでもあります。
そのため、大半の肉離れはこの筋腱移行部付近で起こることが多いのですが、筋実質や腱断裂もあります。
どんなスポーツが多い?
ハムストリングスの特性上、アクセル筋のため筋収縮の強いダッシュ動作やジャンプ動作のある競技が起こりやすいです。
- 陸上の短距離、跳躍選手
- サッカー
- 野球
- バスケット
- ラグビー
- アメフト
などが挙げられます。
損傷の程度
軽度:筋膜や筋間、筋実質の微小損傷
中程度:筋肉や筋膜、筋実質、筋腱移行部の部分断裂
重症:筋肉、筋腱移行部の完全断裂
内出血が起きない場合もある
肉離れでも内出血が起きない場合があります。内出血は組織から血液が漏れ出る現象であり、組織内に血が少ない箇所の場合、内出血が出てこないことがあります。
例えば腱組織に近い箇所の場合は部分断裂しても内出血が起きない場合があります。これは腱組織が血液をそこまで持っていないことが起因とされます。
逆に微小損傷でも筋組織だと血液を豊富に持っているため、内出血が出現することもあります。
故に内出血だけで軽度、重度は分からないのが肉離れです。
肉離れした箇所はどうなるの?
肉離れした箇所はその断端の間に瘢痕組織とよばれる組織が置き換わり、組織をつなぎ合わせます。この瘢痕組織は筋組織や腱組織とは組成が異なり、柔軟性に富んでおらず、非常にもろいです。かさぶたをイメージしてもらえると分かりやすいです。
そのため肉離れしたところは組織的に脆弱になり、再受傷を起こしやすいです。そのため、いかにして断裂した箇所を可能な限り近づかせ、瘢痕組織の範囲を狭くさせるかが予後に繋がります。
当院での治療内容
当院では肉離れした箇所を手技により離れてしまった組織の断端を近づかせるようにします。
更に早期から組織の回復を進めるためにLIPUS(低出力超音波パルス療法)とマイクロカレント(微弱電流)を流します。急性期の場合はアイシングを処置し、腫れを落ち着かせます。
寄せた筋肉が離れないようにテーピングと弾性包帯による固定を施します。
経過を見つつ、受傷3~5日後には温熱療法を開始し、筋肉の柔軟性を上げていきます。
アイシングを継続的にしてしまうと、筋肉の柔軟性が乏しくなり、復帰にかかる時間が長くなってしまうため、可能な限り早期にアイシングを解除して温熱療法へと移行していきます。
損傷程度によりますが、おおよそ2週間で歩くのは問題なくなり、3週間後から徐々にリハビリスタートし、1か月で競技復帰へと移行していきます。
これはあくまで一例ですが、本人の回復速度に伴って治療計画を調整致します。大事な試合が近ければそれに間に合うよう最大限のサポート致しますので、肉離れをしてしまった方はお早めに受診することをお勧めいたします。
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