足関節捻挫
足関節捻挫
非常にポピュラーかつ大半の方が経験したことがあるのではないでしょうか?
窪みにつまづき足首を挫いてしまった、階段を下りた際、足首を挫いてしまった、サッカーで相手にタックルを受け挫いてしまった。 日常生活、スポーツ活動と理由は様々。
足首の捻挫はいつもやっているからと大丈夫と思っていると捻挫癖になり、そこから変形性足関節症や膝や腰への障害に繋がってしまいます。
捻挫の種類
足関節捻挫には大きく分けて二つの種類があります。足首を内返しする内反捻挫。足首を外に返す外反捻挫に分けられます。
内反捻挫
大半の捻挫がこの内反捻挫です。
足関節は腓骨、脛骨、距骨の三つの骨が関節を構成しており、腓骨が脛骨よりも長くなっているため、足首を内に返しやすい構造上の特徴を持っています。
その中でも前距腓靭帯、踵腓靭帯、後距腓靭帯の三つの靭帯にプラス、二分靭帯の計4か所の靭帯を損傷しやすいです。
その中でも前距腓靭帯は一番痛めやすい箇所です。
逆に二分靭帯の単独の場合はそこまで重症化をしないことが多いため、前距腓や踵腓靭帯に比べて治りやすいのが特徴です。
外反捻挫
外反捻挫は内反捻挫と比べそこまで怪我しずらい箇所であります。その理由として内反捻挫でも述べたように足関節の構造上、外側の腓骨が脛骨よりも長くなっているため、それが添え木の役割をし、外に返しづらくなっています。
また、外側の靭帯である三角靭帯(脛舟部、脛踵部、前脛距部、後脛距部)が内側の靭帯よりも強固な作りをしているため、痛めづらいです。
しかし、特異的なスポーツにおいては非常に多い怪我でもあります。その特異スポーツはバスケット、スキー、跳躍競技などが該当します。
スキーにおいては足首をスキーブーツと板が連結しており、転倒時にそれが引っかかり、外返しすることが多いです。
バスケットにおいてはリバウンド時に相手の脚を踏んでしまい、内外に足首がグリグリっと動くため、外反捻挫と内反捻挫を併発してしまいます。
捻挫しやすい特徴
捻挫しやすい方の特徴として以下のことが挙げられます。
①オーバープロネーション
②偏平足
③ハイアーチ
④捻挫癖がある
1.オーバープロネーション
足関節を構成する距骨の角度が内側に倒れやすい特徴を持っている方。
オーバープロネーションの方の大半が偏平足であり、アーチが低いことで内側に倒れやすいのが特徴です。それゆえに歩行時に内反しやすく、特に走ったりする際に、外側ギリギリを接地する方は内反捻挫をしやすいです。
2.偏平足
オーバープロネーションのところでもお伝えしましたが、偏平足になるとアーチが落ちている状態のため、内側に倒れやすく、接地時に内反気味になりやすいため、窪みにはまり捻挫しやすいです。
また、偏平足の方がバスケットを行い、リバウンドの際に相手の足を踏んでしまうと足首を左右に動揺させ、内反・外反捻挫を併発してしまう可能性が高いです。
3.ハイアーチ
甲高の方も逆に外側に過重がかかりやすくオーバープロネーションの方よりも内返しするリスクが高いです。
4.捻挫癖がある
捻挫癖がある方の場合、既に足関節を固定している靭帯を伸びきっている(瘢痕組織が多い)状態のため、純粋に足首の安定性が悪いため、捻挫を再発しやすいです。アライメント(関節の位置関係)も悪く、オーバープロネーション化しやすいのも特徴です。
自宅で出来る応急処置
足首を捻挫してしまったと思ったら、ご家庭で出来る応急処置をお伝えします。
前まではRICE処置が原則となっておりましたが、現在の医学ではPOLICE処置が提唱されています。
RICEはRest(安静)、Ice(冷却)、Compression(圧迫)、Elevation(患肢挙上)の頭文字をとっていましたが、POLICEはProtection(保護)、Optimal Loading(最適な負荷)、Ice(冷却)、Compression(圧迫)、Elevation(患肢挙上)を組み合わせたものです。
ここではIce(冷却)、Compression(圧迫)、Elevation(患肢挙上)がご自宅でも可能な処置となりますので、ご紹介します。
アイシング
氷嚢やアイスノンを用いて、捻挫して痛めた箇所を冷やしてください。この時、アイスノンや保冷剤を使用する場合は凍傷予防のために薄手のタオル、またはハンカチを間に挟んで患部に当ててください。
アイシングをすることで腫れを落ち着かせ、痛覚神経を麻痺させることができますので、まずやるべきはアイシングを徹底してください。
アイシングの時間の目安としては15分~30分間。感覚が消失すればアイシングを終了しましょう。可能であれば、1時間~2時間ほどインターバルを置いて再度冷やしてもらえると炎症が落ち着きます。
これはあくまで急性期の対応となります。急性期を過ぎた場合や慢性期の場合はアイシングをするとかえって逆効果の場合がありますので、ご注意ください。
サポーターなどによる圧迫固定
包帯やテーピング、サポーターなどで圧迫固定をするのが好ましいです。これは必要以上の腫れが出ないようにするのと、固定をすることで患部を安静に保つことが可能となります。しかし、圧迫が強くなりすぎる場合はかえって血流障害を起こし、神経障害へとなってしまうので、一般の方が圧迫固定をする際は簡単に着脱可能なサポーターを使用するのが望ましいです。もしサポーターがないのであれば、無理に圧迫固定をする必要はありません。
患部を挙上
足首を心臓よりも高い位置にすることで患部にたまっていく血流を心臓に戻すことができ、腫れを落ち着かせることに繋がります。怪我をしてしまうと歩くことができないため、ふくらはぎの筋ポンプ作用が使えないため、患部を心臓よりも高い位置に上げ、重力の力を使って血液を心臓に戻すことはとても効果的です。
残りの2つであるProtection(保護)、Optimal Loading(最適な負荷)については一般の方では判断、技術的問題があるため専門の医療機関に任せてもらうのが好ましいです。
Protection(保護)
保護に関してはCompression(圧迫)とRest(安静)の概念を組み合わせたものがイメージしやすいかと思われます。
患部を必要以上に動かないようにサポーターや包帯、ギプスなどで固定させ、患部を安静にさせることで2次的損傷が起こらないようにすることが目的です。そのため、一個人でやるには困難なため、専門の医療機関の力が必要となります。
Optimal Loading(最適な負荷)
可能な限り早期に患部に運動的な負荷を与えることで患部へと向かう血流を促進させ、筋委縮が起こらないようにします。安静にし過ぎてしまうとかえって関節が固まってしまったり、筋肉が萎縮して競技復帰が遅れてしまう危険性があります。しかし、この判断は個人では難しく、専門の医療機関の力が必要不可欠であります。
当院の足関節捻挫に対する治療
足関節捻挫をしてしまうと、足関節を構成する脛骨、腓骨、距骨のアライメントが崩れているので、まず正しい位置に整復します。大前提として整復を行わないと間違った位置で治っていってしまい、結果として足関節の安定性を失ってしまいます。
足関節の整復後、腫れを落ち着かせるために消炎剤を用いて手技によるマッサージ、必要に応じてオプションの特殊物療機器を用いて組織の回復を促進させます。
特に急性期の腫れが強い時は電気治療はできないのですが、当院では急性期でも使用可能であるLIPUS(低出力超音波パルス療法)、マイクロカレント(微弱電流)を使用し組織の回復を促進させます。
酒井医療 フィジオソノのLIPUS(低出力超音波パルス療法)
LIPUSは骨折してしまったところに使うと組織の回復速度が40%向上する論文もあるくらい、非常に急性期に効果的な物療機器です。骨折だけでなく、野球肘や野球肩、シンスプリント、足関節捻挫などにも対応できます。
マイクロカレントは生体電気と同じくらいの出力を患部に流すことで、細胞を活性化させ、自己治癒力を高めることができます。また、自律神経を整える効果もあるため、急性期のような交感神経優位の状態を落ち着かせることができます。
テクノリンクのネオテクトロン ONE-P6-Plus
低周波、ハイボルト、EMS、微弱電流など様々な電気を流すことができます。
LIPUSもマイクロカレントも感覚的に感じられないほどの出力の電気のため、電気治療が苦手な方でも安心して受けられます。
症状の経過を見つつ、超音波治療器での温熱治療を行います。
症状や怪我した方の事情に合わせ、テーピングや包帯での固定を施します。
学生など大会や試合にどうしても出場しなければならない時はテーピングを施して出場できるよう最大限のサポートを致します。
しかし、症状によっては出場を止めさせることもあります。本人がどうしても出たいと言ったとしても、今後を考えて止めさせることもございます。
自分も選手の経験があり、出場させてあげたい気持ちでいっぱいですが、その子の将来を思って、今はやめた方が良いと考えた時、治療家としての責務を全うするのがプロである私の役目だと感じておりますので、そこはご了承して頂けると幸いです。
無論、本人の意思を尊重し、最大限出場できるように治療していきますので、宜しくお願い致します。
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