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中足骨骨頭部痛
現在通院している中足骨骨頭部痛の患者さん。
ランニングして痛めてしまったとのこと。
足の指の2趾、3趾の間に痛みがあり、本人はモートン病ではないかと思っていましたが、診てみると中足骨骨頭部痛でした。
中足骨骨頭部痛は僕自身もかつて患ったことのある怪我であり、丁度足の指の付け根に痛みが生じます。
大体、そのような場合、足裏にマメが出来ていることが多く、マメのエリアの箇所に中足骨骨頭部痛と一致します。
この怪我になりやすい人は
などが挙げられます。
特に上の三つの共通点として横アーチの低下です。
横アーチとは足裏の土踏まずを形成するアーチであり、足部のMP関節の辺りのアーチが落ち込み、それにより中足骨が地面に接地易い状態になります。
外反母趾の方も偏平足も浮指の方も共通して、この横アーチが落ちてしまうため中足骨骨頭部痛のリスクが高いです。
そしてこの中足骨骨頭部痛ですが、非常に難治性の疾患です。
骨頭部の骨膜が炎症を起こし、痛みを伴うのですが、足裏のため歩いたり立ったりするとどうしても当たってしまう箇所です。
そのため、テーピングの固定を施しても足裏にかかるストレスが抜けきれず、立ったり歩いたりするたびに中足骨骨頭部にストレスがかかるため、痛みが中々取れづらいのがこの疾患の特徴です。
僕自身もかつてこの中足骨骨頭部痛に悩まされていました。
フルマラソンに向けてトレーニングをしていたので、休ませずに走っていたため治るまでに半年ほどかかったのが現実です。
僕の場合は偏平足かつ厚底のカーボンプレート搭載シューズを使っており、脚で蹴る走り方をしていたため発症してしまいました。
そんな状態からどう治したのかと言うと、まずはカーボンシューズの使用頻度を減らし、メニューをスピード系からジョグ中心に切り替え、フォーム修正をし、自分自身でマッサージジェルで足底部の柔軟性を高めていきました。
その結果、痛みなく走れるようになり、フルマラソンに間に合わせることができました。
と、僕の話はここまでにして、中足骨骨頭部痛をどう治すべきかをお伝えします。
中足骨骨頭部痛がなぜ起こっているのかの原因を追究しなければなりません。
- 足底部の器質的変化(偏平足、外反母趾、浮指など)
- 足関節、膝と股関節のアライメント
- 姿勢の歪み
- フォーム
- シューズ問題
- 私生活の使い方
- 練習量
まずは器質的変化を見ていきます。
中足骨骨頭部が着きやすい状態かの有無を確認します。
次に膝・股関節のアライメントです。足関節のオーバープロネーション(過回内)、膝のニーイン、股関節の内旋位です。
足関節のオーバープロネーションは足底部が落ち込みやすく、中足骨骨頭部のストレスがかかりやすいです。
それに伴い膝関節のニーイン(膝が内に入る)状態も同様に足が内側に倒れこみやすくなるため、足底が落ちやすいため、中足骨骨頭部が地面と接しやすいです。
股関節の内旋位も同様に膝が内に入るため、結果として足底部が落ちてしまい、中足骨骨頭部が地面と接してしまいます。
これらの状態はそこだけが問題ではないことが多いです。特に姿勢の状態が悪い、猫背などになっているとそれを補正するため、下半身の負担が増えることが多いです。すると中足骨部にストレスがかかってしまいます。
ですので、当院はこれらの歪みを正し、まず負担の少ない体作りを行います。そのために姿勢矯正を行います。
理由としては痛みが伴う場合、体はそれを庇うため補正していきます。すると体の軸がズレ、姿勢に歪みが生じてしまいます。ですので、まず土台となる姿勢を整えることが大切です。
負担の少ない体へと作り変えた後、特殊物療機器を用いて炎症を抑えていきます。
当院ではLIPUSと呼ばれる低出力超音波パルス療法を使い、骨頭部の炎症を抑えていき、かつ組織の再生を促していきます。
LIPUSは元々骨折の骨癒合期間を短縮させる(骨の付きを良くし、固定期間を短くします)ことができますが、筋肉や靭帯、関節などにも効果があります。
中足骨骨頭部痛は骨の器質的障害ですので、LIPUSの効果は高いです。
痛みがある程度緩和していから、練習再開をしていきます。
この際、いきなり元の練習に戻すのではなく、段階的に行うことが重要です。
まずはウォーキング。そこから500mジョグのインターバル、1㎞のジョグ、2㎞、3㎞と走行距離を増やしていき、負荷に耐えられるかの試験を行います。
そうすることで再受傷のリスクを下げ、競技復帰を早めることが可能です。
それと同時にフォーム修正、足の指の使い方の教育を進めていきます。
その他にも様々なアプローチをして競技復帰、怪我からの回復を早めていこうと努めます。
中足骨骨頭部痛でお困りの方は一度当院までお越しください。
難治性ではありますが、継続して治療していけば必ず治る怪我ですので、諦めずに希望を捨てずにいてください。
当院はそんな悩める方の力になりたいと思います。